
目次
ROG Ally Xに不調が・・・
ROG Ally XをWindows Updateしたところ、それまで普通に使えていた指紋認証によるWindowsへのサインインが突然できなくなりました。
症状が発生したのは2026年9月15日のWindows Update後です。
最初はROG Ally Xの指紋センサーやドライバーの問題を疑いましたが、最終的にイベントビューアーを調査したところ、
HelloForBusiness
イベントID:7002
タスクのカテゴリ:Container Load
エラー:0xD000A002
というエラーが記録されていました。
最終的にはWindows HelloのPINを一度削除して作り直し、その後に指紋を再登録することで復旧しました。
この記事では、実際に行った調査と復旧手順をまとめます。
使用環境
今回問題が発生した環境です。
機種:
ROG Ally X(RC72LA)
OS:
Windows 11 Home 25H2
問題発生時に適用された更新:
KB5129195
更新後のOSビルド:
26200.9457
指紋センサー:
EgisTec Touch Fingerprint Sensor
ハードウェアID:
USB\VID_1C7A&PID_0588
当初の指紋ドライバー:
Egis Technology Inc.
バージョン 1.1.110.0
今回更新したASUS公式ドライバー:
バージョン 1.1.120.0
Windows Update後、突然指紋認証が使えなくなった
Windows Updateを行ったあと、ROG Ally Xを起動すると、それまで使えていた指紋認証でサインインできなくなりました。
代わりにWindowsのパスワードを要求されます。
一度指紋を登録し直してみましたが、翌日の起動でも同じ症状が発生しました。
そのため単純な指紋登録ミスではないと考え、原因を調査することにしました。
指紋センサー自体はWindowsから認識されていた
まずデバイスマネージャーを確認しました。
「生体認証デバイス」には、
EgisTec Touch Fingerprint Sensor
が正常に表示されていました。
当初インストールされていたドライバーは、
バージョン:1.1.110.0
日付:2024/05/27
でした。
つまり、少なくともWindowsから指紋センサーそのものが完全に見えなくなったわけではありません。
ASUS公式の新しいEgisTecドライバーへ更新
ASUS公式サイトを調べたところ、ROG Ally X(RC72LA)向けに、
EGIS Fingerprint Driver
バージョン:1.1.120.0
が公開されていました。
そこで、古い1.1.110.0をデバイスマネージャーから削除しました。
この際、
「このデバイスのドライバーを削除しようとしました」
にもチェックを入れ、旧ドライバーを削除しています。
その後PCを再起動し、
Fingerprint_WBF_USB_ROG_EGIS_Z_V1.1.120.0_42677_1.exe
から1.1.120.0をインストールしました。
再起動後、デバイスマネージャーで、
Egis Technology Inc.
日付:2025/01/20
バージョン:1.1.120.0
になっていることを確認しました。
しかし、指紋の再登録ができない
ドライバー更新後、Windows Helloの古い指紋登録を削除し、新しく登録し直そうとしました。
ところが、
設定
↓
アカウント
↓
サインイン オプション
↓
指紋認識(Windows Hello)
↓
セットアップ
と進み、PINを入力すると、Windows Helloセットアップ画面が真っ白になって先へ進まなくなりました。
何度か試すと、
「Windows Helloを設定するには、指紋を数回スキャンする必要があります。」
という画面までは表示されることもありました。
しかし、ROG Ally Xの指紋センサーに何度指を触れても反応しません。
この時点で、単純な指紋ドライバーの問題ではない可能性が高くなりました。
Windows Biometric Serviceは正常だった
次に、
Win + R
↓
services.msc
からWindowsのサービスを確認しました。
Windows Biometric Serviceは、
状態:実行中
スタートアップの種類:自動(トリガー開始)
となっていました。
サービス自体は正常に動作していました。
サービスを再起動して再度指紋登録を試しましたが、症状は改善しませんでした。
■KB5129195を一度アンインストールしてみた
症状がWindows Update直後に発生したため、2026年9月15日にインストールされた、
KB5129195
も疑いました。
更新前:
Windows 11 25H2
OSビルド 26200.9445
更新後:
OSビルド 26200.9457
だったため、KB5129195を一度アンインストールしました。
再起動後、
winver
で確認すると、
OSビルド 26200.9445
へ戻っていました。
しかし、指紋登録を試してもWindows Helloセットアップ画面は再び真っ白になりました。
つまり今回のケースでは、
「KB5129195をアンインストールすれば直る」
という単純な問題ではありませんでした。
イベントビューアーでBiometricsのエラーを発見
ここからイベントビューアーを調査しました。
Win + R
↓
eventvwr.msc
を実行します。
続いて、
アプリケーションとサービス ログ
↓
Microsoft
↓
Windows
↓
Biometrics
↓
Operational
を確認しました。
すると、
イベントID:1610
ソース:Biometrics
タスク:WBioSrvc
のエラーが何度も発生していました。
内容は、EgisTec Touch Fingerprint Sensorの登録情報を削除する処理に失敗したというもので、
0x8009801F
というエラーコードが記録されていました。
MicrosoftのWinBioエラーコードでは、
0x8009801F
= WINBIO_E_DATABASE_NO_RESULTS
となっており、クエリに一致するレコードがデータベースに存在しないことを示します。
センサーとのセキュア接続自体は成功していた
一方で、
イベントID:1608
では、
Windows生体認証サービスのセキュリティで保護されたコンポーネントが、EgisTec Touch Fingerprint Sensorとのセキュリティで保護された接続を正常に再確立した
という内容が記録されていました。
さらにイベントID 1108では、
SensorMode:Advanced
SensorPool:System
Virtual Secure Mode
としてEgisTecセンサーが初期化されていました。
つまり、
指紋センサーが認識されない
↓
ドライバーが読み込めない
↓
センサーと通信できない
という単純な故障ではなさそうです。
VBS、BioIso.exe、NgcIso.exeも正常
Windowsのシステム情報(msinfo32)も確認しました。
「仮想化ベースのセキュリティ」は、
実行中
になっていました。
タスクマネージャーの「詳細」では、
BioIso.exe
NgcIso.exe
BioEnrollmentHost.exe
も実行されていました。
Secure Biometrics周辺の基本的なWindowsコンポーネントは動作しています。
WinBioDatabaseも確認
Windowsの生体認証データベースである、
C:\Windows\System32\WinBioDatabase
も確認しました。
EgisTecのイベントログに記録されていたDatabaseID、
{01be2559-e588-4cda-abd5-c9992404da3a}
に対応する、
01BE2559-E588-4CDA-ABD5-C9992404DA3A.DAT
が存在していました。
しかも、このファイルは今回EgisTec 1.1.120.0をクリーンインストールしたあとに新しく作成されたものでした。
そのため今回は、WinBioDatabaseを手作業で削除する方法は実行していません。
決定的だった「HelloForBusiness」のEvent 7002
さらにイベントビューアーで、
アプリケーションとサービス ログ
↓
Microsoft
↓
Windows
↓
HelloForBusiness
↓
Operational
を確認しました。
すると、
イベントID:7002
タスクのカテゴリ:Container Load
のエラーが何度も記録されていました。
内容は、
「既存のWindows Helloコンテナーを読み込めませんでした。」
というものです。
そしてエラーコードは、
0xD000A002
でした。
これで、指紋センサーそのものよりもWindows Hello側の資格情報・コンテナーに問題が発生している可能性が高くなりました。
実際に直った方法:Windows Hello PINを削除して作り直す
ASUS公式にも、0xD000A002が発生した場合のWindows Hello PINトラブルシューティングが掲載されています。
そこで、
設定
↓
アカウント
↓
サインイン オプション
↓
PIN(Windows Hello)
を開き、
「このサインイン オプションを削除する」
からPINを一度削除しました。
注意:
PINを削除する前に、MicrosoftアカウントまたはWindowsアカウントのパスワードでログインできることを確認しておくことをおすすめします。
PINを削除すると、
PIN(Windows Hello)
↓
セットアップ
という状態になります。
ここから再びセットアップを実行しました。
途中でMicrosoftアカウントの本人確認が要求されたため、私の場合はスマートフォンのMicrosoft Authenticatorを使用しました。
一度目はセットアップ画面に変化がありませんでしたが、もう一度実行すると、
「PINのセットアップ」
画面まで正常に進みました。
そこで新しいPINを作成しました。
PIN再作成後、指紋登録が復活!
PINを作り直したあと、
設定
↓
アカウント
↓
サインイン オプション
↓
指紋認識(Windows Hello)
↓
セットアップ
を実行しました。
すると今度は、これまで白画面になっていたWindows Helloの指紋登録が正常に進みました。
ROG Ally Xの指紋センサーも反応し、
「すべて完了しました。」
まで到達。
指紋の登録に成功しました。
ロック画面から指紋認証に成功
登録後、
Win + L
でWindowsをロックしました。
サインイン方法を指紋認証に切り替え、ROG Ally Xの指紋センサーに触れたところ、
正常にWindowsへ再ログインできました。
これで指紋認証そのものが復旧したことを確認できました。
KB5129195を再適用しても正常だった
原因調査のため一度アンインストールしていたKB5129195ですが、セキュリティ更新なので最終的には再適用しました。
再適用後、
Windows 11 25H2
OSビルド 26200.9457
へ戻っています。
その状態でPCを再起動し、再び指紋認証を試しました。
結果は、
指紋認証によるサインイン成功
でした。
つまり少なくとも今回の環境では、
「KB5129195がインストールされているだけで必ず指紋認証が壊れる」
というわけではありませんでした。
Windows Updateを契機としてWindows Hello側に不整合が発生した可能性はありますが、KB5129195そのものを恒常的な原因と断定することはできません。
今回の復旧手順を簡単にまとめると
今回、最終的に有効だった流れは以下です。
1. ASUS公式EgisTecドライバー1.1.120.0へ更新
2. Windows Helloの指紋情報を削除
3. イベントビューアーでHelloForBusiness Event 7002 / 0xD000A002を確認
4. Windows Hello PINを削除
5. Microsoftアカウントで本人確認
6. Windows Hello PINを新しく作成
7. 指紋を新規登録
8. Win + Lで指紋認証をテスト
9. PC再起動後にも指紋認証を確認
10. KB5129195を再適用した状態でも正常動作を確認
特に重要だったのは、
「指紋を再登録するだけでは直らなかった」
という点です。
Windows HelloのPINを一度削除して再作成したあとに、指紋登録が正常にできるようになりました。
最初から全部やる必要はないと思う
今回かなり深く調査したため、
・指紋ドライバーのクリーンインストール
・Windows Biometric Serviceの確認
・Windows Updateのロールバック
・Biometricsイベントログの調査
・VBSの確認
・BioIso.exe / NgcIso.exeの確認
・WinBioDatabaseの確認
まで行いました。
しかし、同じ、
HelloForBusiness
Event ID 7002
Container Load
0xD000A002
が出ている場合、最初からここまで全部やる必要はないと思います。
まず試すなら、
Windows Hello PINを削除
↓
PINを再作成
↓
指紋を再登録
という順番が候補になります。
それでも直らない場合に、ドライバーやイベントログを詳しく確認するのがよさそうです。
今回は実行しなかった対処
調査中には、
C:\Windows\System32\WinBioDatabase
の手動削除や、
certutil.exe -deleteHelloContainer
によるWindows Helloコンテナーの削除も候補になりました。
しかし今回は、そこまで実行する前にPINの削除・再作成で復旧しました。
Windows Helloコンテナーや生体認証データベースは認証情報に関係するため、正常に復旧したのであれば無理に触らない方が安全だと思います。
まとめ
ROG Ally XでWindows Update後に指紋認証が突然使えなくなりました。
最初はEgisTecの指紋センサーやドライバーを疑いましたが、調査を進めると、
HelloForBusiness
Event ID 7002
Container Load
0xD000A002
が繰り返し発生していることが分かりました。
最終的には、
Windows Hello PINを削除
↓
PINを新しく作成
↓
指紋を再登録
することで復旧しました。
その後、
・Win + Lから指紋でロック解除
・PC再起動後の指紋サインイン
・KB5129195再適用後の指紋サインイン
すべて正常に動作しています。
日本語でROG Ally Xと0xD000A002を組み合わせた詳しい情報があまり見つからなかったため、同じ症状が発生した方の参考になれば幸いです。
それではここまでご覧いただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いします
※この記事は2026年9月16日にROG Ally X(RC72LA)+Windows 11 25H2環境で実際に確認した内容です。
Windows Updateやドライバーの状況によって、同じ症状でも原因が異なる可能性があります。