
目次
AIでVRゲーム制作、今度はモーション調整の沼へ……理想の動きにならない!

現在、Unreal Engine 5とBlenderを使ってVRゲームの制作を進めています。
ここ最近、特に多くの時間を使っているのが、召喚したドラゴン「ドラグレッダー」のモーション調整です。
以前はほぼ固定されたモデルを飛ばしていましたが、せっかく巨大なドラゴンが登場するのであれば、
「もっと生き物らしく動かしたい!」
と思い、本格的なアニメーション制作に挑戦することにしました。
Blender MCPを導入したことで、AIにBlenderを操作してもらえるようになり、
「これならモーション制作もかなり楽になるのでは?」
と思っていました。
ところが現在、モーション調整の沼に完全にはまっています。
まずはドラグレッダーを動かせるようにする
最初の大仕事は、そもそもモデルをアニメーションさせられる状態にすることでした。
元々使用していたドラグレッダーは、頭、胴体、尻尾、腕など複数のパーツから構成されていました。
そこでBlender上でボーンを入れ、
頭
↓
胴体
↓
尻尾
と連続して動かせる構造を作成。
さらに左右の腕もボーンに追従させ、Unreal EngineへSkeletal Meshとして取り込めるようにしました。
ここまででも、ボーン数や階層、FBXエクスポート時の設定などで何度も問題が発生。
ようやくUE上でアニメーションが動いたときには、かなり達成感がありました。
しかし、本当の苦労はここからでした。
「動く」と「自然に動く」は全く違った
ボーンが正常に動けば、それで完成というわけではありません。
最初に作った飛行モーションを再生すると、確かにドラグレッダーは動いています。
しかし何かがおかしい。
胴体が硬い。
頭の動きが不自然。
尻尾が機械的。
全体的に「モデルを上下に動かしている」ように見えてしまいます。
そこで、胴体の各ボーンに少しずつ位相をずらした動きを追加し、頭から尻尾へ波が伝わるようなモーションを作りました。
すると、かなり生き物らしくなりました。
ところが――。
一つ直すと、別の場所がおかしくなる
モーション制作で一番苦しんでいるのがこれです。
例えば、
「頭の上下運動をもう少し小さくしよう」
と調整します。
すると今度は胴体とのつながりが不自然になります。
胴体を直すと、今度は尻尾の動きが目立つ。
尻尾を滑らかにすると、今度は腕の付け根がおかしく見える。
腕を修正すると、今度は飛行中のシルエット全体が変わる……。
一ヶ所を直せば完成に近づくとは限らない。
これがモーション調整の難しいところでした。
AIに、
「もう少し自然にしてください」
とお願いするだけでは、こちらが想像している「自然さ」を完全に伝えることもできません。
結局、
修正
↓
確認
↓
違和感を発見
↓
原因を調査
↓
再修正
を何度も繰り返しています。
腕の追加ではさらに苦戦
特に大変だったのが腕です。
胴体だけを動かしていたときには問題なかったのですが、左右の腕を追加すると、飛行モーション中に腕が胴体から離れたり、不自然な方向へ垂れ下がったりする問題が発生しました。
ボーンの親子関係。
Weight設定。
Rest Pose。
ローカル座標。
FBXのエクスポート設定。
原因になりそうな部分を一つずつ確認していきました。
見た目では「腕の位置が少し変」というだけなのですが、その裏では複数の設定が関係しています。
3Dアニメーションの難しさを思い知らされました。
今度は「上下に揺れているだけ」に見える
腕の問題を修正した後は、飛行モーションそのものをさらに改善することにしました。
目標は、空中を泳ぐようなドラゴンらしい動きです。
単純に全身を同時に上下させるのではなく、
頭が動く
↓
胴体へ波が伝わる
↓
最後に尻尾が追従する
という動きを目指しています。
そこで位相や振幅を変更した複数のバージョンを作成しました。
通常版。
上下運動を強くした版。
胴体中央を基準にした版。
尻尾の動きを柔らかくした版。
さらにUE側で再生速度も変更して比較します。
ほんの少し数値を変えただけでも、巨大なドラゴンでは印象がかなり変わります。
Blenderで良くてもUEでは印象が変わる
もう一つ難しいのが、Blender上で良く見えたからといって、それで終わりではないことです。
最終的に使用するのはUnreal Engineです。
さらにゲームはVRです。
Blenderでは自然に見えていたモーションでも、UEへ持っていくと、
「思ったより動きが小さい」
「ちょっと速すぎる」
「巨大生物なのに軽く見える」
といった違いが出てきます。
そして最終確認はMeta Quest 3。
VRでは画面で見るよりもサイズ感や距離感が強く感じられるため、モニター上では問題なかった動きでも印象が変わります。
つまり、
Blender → Unreal Engine → VR実機
と確認しながら調整する必要があります。
これがなかなか終わりません。
それでも少しずつ完成形に近づいている
何度修正しても新しい問題が見つかるので、
「いつ完成するんだ……」
と思うこともあります。
しかし、最初のモーションと現在のモーションを比較すると、確実に良くなっています。
最初は硬い模型が飛んでいるようだったドラグレッダーが、少しずつ巨大な生物として動くようになってきました。
AIを使えば、ボーン構造を調べたり、モーションを生成したり、問題の原因を分析したりする作業はかなり効率化できます。
しかしAIが自動的に、
「これが一番かっこいいドラゴンの動きです!」
と完成品を作ってくれるわけではありません。
最後は実際に動きを見て、
「ここが違う」
「もう少しゆっくり」
「ここはもっと大きく動いてほしい」
と判断する必要があります。
以前MAP制作の記事でも感じましたが、今回も同じでした。
AIを使えば制作は楽になる。
しかし、
AIを使えば簡単に完成するわけではない。
特にモーション制作では、それを強く感じています。
まだ調整は続きます。
それでも、召喚したドラグレッダーがVR空間を自然に飛び回る姿を完成させるため、もう少しこの「モーション調整の沼」と付き合っていこうと思います。
完成したときに、
「あのとき何度も作り直してよかった」
と思えるところまで仕上げたいですね。
まだまだVRゲーム制作は続きます・・・
それではここまでご覧いただきありがとうございざいます
次回もよろしくお願いします!