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AIならMAP制作も簡単?Blender MCPとPLATEAUで「さいたま新都心」を作ってみたけど現実は甘くなかった
現在、Unreal Engine 5とMeta Quest 3を使ってVRゲームを制作しています。
キャラクターや武器、敵との戦闘、カードを使ったシステムなどは少しずつ形になってきました。
しかし、その中でも思った以上に苦戦しているのがMAP(レベル)制作です。
ゲームシステムが完成しても、戦う場所がなければゲームにはなりません。
そこで今回は、AIからBlenderを操作できる「Blender MCP」、
さらに国土交通省の3D都市モデル「PLATEAU」まで使い、実在する「さいたま新都心・さいたまスーパーアリーナ周辺」を舞台にしたMAP制作に挑戦しました。
結論から言えば、
「AIと実在都市の3Dデータを使えば、MAPなんて簡単に作れるのでは?」
という考えは、かなり甘かったです。

Blender上に取り込んだ、さいたまスーパーアリーナ周辺の3D都市データ
本物のさいたま新都心をゲームにしたい!
今回ゲームの舞台として作りたかったのが、さいたま新都心周辺です。
特に中心となるのは「さいたまスーパーアリーナ」
(平成初期といえばスーパーアリーナですよね)
せっかくVRでゲームを作るのであれば、架空の街ではなく、実在する場所を歩いているような感覚を出してみたい。
さらにゲームの世界観に合わせて現実世界とは左右を反転させれば、
「現実とよく似ているけれど何か違う世界」という雰囲気も出せるのではないかと考えました。
そこで最初に考えたのが、Blender MCPを利用したMAP制作でした。
AIに道路や建物の配置を指示して街を作っていきます。
ところが、確かに「街っぽいもの」は作れても、
実在するさいたま新都心を再現するとなると話は別です。
建物の位置、高さ、道路の幅、駅との位置関係……。
これらを一つ一つAIに指示して再現するのは、想像以上に大変でした。

PLATEAUの都市データをBlenderで確認。
さいたまスーパーアリーナだけでなく周辺のビルや道路まで存在する
それならPLATEAUを使えば本物の街を取り込める!
そこで次に挑戦したのが、国土交通省が提供している3D都市モデル「PLATEAU」です。
PLATEAUには実在する都市の建物などの3Dデータがあります。
「これを使えば、さいたま新都心を一から作らなくてもいいのでは?」
と考えました。
実際にCityGMLデータを取得し、試行錯誤しながら、
PLATEAU
↓
CityGML
↓
Unity
↓
GLB
↓
Blender/Unreal Engine
という流れでデータを扱いました。
そしてついに、さいたまスーパーアリーナを含む周辺都市を3D空間上に表示することに成功。
これはかなり感動しました。
さいたまスーパーアリーナだけでなく、周辺の高層ビルや道路なども実際の位置関係に近い状態で存在しています。
「これをそのままVRゲームのMAPにすればいいじゃないか!」
この時点ではそう思っていました。

さいたまスーパーアリーナ周辺を広範囲に取り込んだ状態。
見た目は素晴らしいものの、ゲーム用データとしては巨大だった
本物の都市データは、とにかく重かった
しかし、ここで大きな問題が発生します。
とにかく重い。
当然といえば当然なのですが、PLATEAUはゲーム用に最適化されたMAPデータではありません。
実際の都市を表現するため、大量の建物やオブジェクトが含まれています。
しかも今回作っているのはVRゲームです。
通常のPCゲーム以上に処理負荷を意識する必要があります。
キャラクターを表示する。
敵を動かす。
ドラゴンを飛ばす。
攻撃エフェクトを表示する。
カードシステムを動かす。
さらにVRでは映像を左右の目に対して描画する必要があります。
最終的にはMeta Quest 3のようなスタンドアロンVR機器で動作させたいので、
巨大な都市データをそのまま利用するのは現実的ではありませんでした。
せっかく本物のさいたま新都心を3D空間に取り込めたのですが、
PLATEAUのデータをそのままゲームMAPとして利用する方法はいったん断念することにしました。

Unreal Engine 5でゲーム用に作り直している道路。
実在都市の完全再現から「必要な場所だけ作る」方向へ変更
「本物を再現する」から「ゲームとして作り直す」へ
ここからMAP制作の考え方を大きく変更しました。
さいたま新都心を完全に再現するのではなく、
「さいたま新都心らしさを残しながら、ゲーム用の街として作り直す」
という方向です。
現在はUnreal Engine用の道路や日本風建物のアセットなどを組み合わせ、ブロックアウトを作っています。
PLATEAUで確認した実際の都市構造を参考にしながら、
- 大きな道路
- 交差点
- 歩道
- 高層ビル
- 広場
- ペデストリアンデッキ
- 植栽
などを必要な場所だけ配置していきます。
これなら、プレイヤーが絶対に行かない場所まで作り込む必要はありません。
ゲームとして必要な範囲に集中できます。

現在制作中のさいたま新都心ブロックアウト。
実在都市そのものではなく、ゲームとして遊べる空間を目指して再構築中
作り直したら今度は「それっぽさ」が足りない
ところが、問題はこれで終わりませんでした。
PLATEAUを使えば、本物なので当然リアルです。
しかしゲーム用アセットに置き換えると、今度はどうしても「さいたま新都心っぽさ」が薄くなってしまいます。
ビルを並べる。
木を植える。
道路を作る。
ベンチを置く。
それだけでも街には見えます。
しかし、
「これはさいたま新都心だ」
と思えるかというと、まだそこまで到達していません。
特にさいたまスーパーアリーナのようなランドマークは、巨大な箱を置いただけでは当然それらしく見えません。
リアルさを追求するとデータが重くなる。
軽量化すると本物らしさが失われる。
このバランスが非常に難しいところです。
MAPとレベルデザインは別物だった
さらにMAPを作っていて気付いたことがあります。
それは、
「街を作ること」と「ゲームのレベルを作ること」は違う
ということです。
PLATEAUを使えば、本物に近い街は作れます。
Blender MCPを使えば、AIに建物を配置してもらうこともできます。
Unreal Engineのアセットを使えば、綺麗な道路やビルも作れます。
しかしゲームとして考えると、
「プレイヤーをどこへ向かわせるのか?」
「敵をどこから出現させるのか?」
「どこで戦闘するのか?」
「ドラゴンをどこから登場させるのか?」
「次のエリアをどう見せるのか?」
といった、全く別の設計が必要になります。
本物の街を完全再現したからといって、それが面白いゲームMAPになるとは限らないわけです。
AIを使ってもMAP制作は難しかった
今回のMAP制作を振り返ると、
Blender MCPでAIに街を作らせる
↓
実在都市の再現は難しい
↓
PLATEAUなら本物を使えることに気付く
↓
さいたまスーパーアリーナ周辺の取り込みに成功
↓
しかしデータが重すぎる
↓
ゲーム用アセットを使ってUE5で作り直す
↓
今度は「本物らしさ」とレベルデザインに苦戦する
……と、かなり遠回りしています。
ただ、この遠回りもゲーム制作の勉強になりました。
AIは確かに作業を手伝ってくれます。
Blender MCPなら3D空間を直接操作できます。
PLATEAUなら実在都市の3Dデータまで利用できます。
Unreal Engineには高品質なアセットが大量にあります。
それでも、
「その場所でプレイヤーに何を体験させるのか」
まで自動的に作ってくれるわけではありません。
今回改めて感じたのは、
「AIを使えば簡単になる」と「AIを使えば簡単に完成する」は全く違う。
ということです。
現在もさいたま新都心MAPは制作途中です。
ただし今後は街全体の完全再現を目指すのではなく、
戦闘やカード召喚、ドラゴンの登場といったVRならではの演出を優先し、
そのために必要な場所を重点的に作り込んでいく予定です。
完成までまだまだ時間はかかりそうですが、失敗や方向転換も含めて、
引き続きAIを使ったVRゲーム制作の記録として残していきたいと思います。
それではここまでご覧いただきありがとうございます!
次回もよろしくお願いします