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結論としてVRゲーム機を使いたい人にはおすすめできない
2026年9月26日にSteam Frameの1TBモデルが到着してから、約1か月が経過しました。
購入直後のファーストインプレッションでは、初期設定や装着感、Steamライブラリからのゲーム起動などを中心に紹介しましたが、その後もVRゲームや通常のPCゲーム、MODの導入など、さまざまな使い方を試してきました。
1か月使ってみた感想としては、良いところも悪いところも、最初に想像していた以上にはっきりしてきた印象です。
先に結論を言ってしまうと、Steam Frameは非常に面白い端末ですが、VRゲームを手軽に遊びたい人には全くおすすめできません。
一方で、PCゲームに慣れていて、自分で設定を変更したり、MODを導入したりするのが好きな人には、Questシリーズにはない魅力があります。
今回は、購入から約1か月使用して感じたメリットとデメリットをまとめていきます。
なお、PCVRストリーミング時の遅延やカクつきについては、すでに別記事で検証しているため、今回は詳しい内容を省略します。
Steam FrameはVRゲーム機というより「VRもできるPC」
Steam Frameを使い始めた当初は、Meta Quest 3の対抗となるスタンドアローンVR機器という認識でした。
しかし、1か月ほど使ってみると、その印象はかなり変わりました。
個人的には、**「Linux系の小型PCに両眼ディスプレイが付いていて、おまけでVRゲームもできる端末」**という表現が一番しっくりきます。
もちろんVR機器としての機能も備えているのですが、Steamライブラリにある通常のPCゲームを実行できたり、ゲームファイルを直接操作できたりするところは、一般的なVRゲーム機というよりPCに近い感覚です。
Meta Questが「VRゲームを遊ぶためのコンシューマーゲーム機」だとすれば、Steam Frameは「VRゲームも遊べるPC」といったところでしょうか。
そして、この違いこそがSteam Frameを評価するうえで最も重要なポイントだと思います。
Quest 3と比べると、製品としての完成度はまだ物足りない
実際にMeta Quest 3とSteam Frameを使い比べると、VR機器としての使いやすさについてはQuest 3の方が上だと感じます。
Metaは長年VR機器を開発してきたメーカーです。もちろんQuest 3にもUIや操作性などで不満に思う部分はあります。
それでも、初期設定から日常的な操作、各種機能の分かりやすさまで含めると、世代を重ねてきた完成度の違いを感じます。
Steam Frameは、PCでSteamを利用しているユーザーならメニュー構成に馴染みやすい一方、Steamに慣れていない人には分かりづらい部分もあります。
さらに使い込むと、設定の複雑さが気になってきます。
SteamVRとSteam Linkの設定がとにかく分かりづらい
個人的に特に不満なのが、SteamVRやSteam Linkの設定です。
Steam Frame本体側にもPC側にも設定項目があるため、どちらの設定が何に影響するのか、非常に分かりづらいのです。
例えばPCVR接続時には、SteamVR上では床の高さが正常に見えているのに、ゲームによってプレイヤーの高さが大きく異なることがありました。
床の高さを修正しようとしてPC側のSteamVRでルームセットアップを開いても、ベースステーション方式を前提とした設定が表示され、インサイドアウトトラッキング方式のSteam Frameではうまく設定を進められませんでした。
少なくとも私の環境では、一般的な手順で簡単に調整できる状態ではありませんでした。
こうした問題が発生すると、解決策を探す以前に、どこで設定を変更するのかを調べる必要があります。
自由度が高いこと自体は魅力ですが、自由度が高いことと、設定が分かりやすいことは別問題です。
1か月使用した現在でも、この点は大きな不満として残っています。
装着感は良好。ただし本体のバッテリー持続時間は短い
ハードウェアについては、良い点もあります。
まず装着感ですが、外部アクセサリーを何も取り付けていない標準状態では、Quest 3よりも軽く感じます。
初回装着時はヘッドバンドがかなり短く調整されていたため圧迫感がありましたが、バンドを調整すれば印象は変わりました。
一方で、1か月使ってもどうにもならないと感じているのが、本体のバッテリー持続時間です。
とにかくバッテリーの持ちが短い。
Steam Frame本体ではバッテリーの残り時間を表示できるため、あとどれくらい使えるかを把握しやすい点は便利です。
しかし、長時間ゲームをプレイしたり、大容量ゲームをダウンロードしたりする場合には、給電しながら使用することを考える必要があります。
この点は使い慣れたからといって改善するものではありません。
ところが、面白いことにコントローラーのバッテリーはほとんど減りません。
本体のバッテリー持続時間には不満がある一方、コントローラー側はかなり優秀だと感じます。
Steam Frame単体でのゲーム性能はどうなのか?
Steam Frameの大きな魅力の一つが、PCに接続せず、本体だけでSteamライブラリのゲームを遊べることです。
今回はVRゲームだけでなく、一般的なPCゲームも複数試してみました。
なお、以下は私の環境での実測・使用感であり、すべての環境や設定で同じ結果になることを保証するものではありません。
通常のPCゲームの動作結果
| タイトル | 実機での結果 |
|---|---|
| 地球防衛軍4.1 | 快適に動作 |
| お姉チャンバラZ2 | ゾンビ1体で60FPS、100体で約45FPS |
| お姉チャンバラORIGIN | ゾンビ1体で約65FPS、20体でも60FPS超 |
| DQM4体験版 | 約32FPS前後、重い場面では20FPS前後 |
| SILENT HILL f | 起動できず |
※お姉チャンバラZ2はゲーム側に60FPSの上限があります。ORIGINはプラクティスモードで最大20体までしか配置できなかったため、両作品の数値を単純比較することはできません。
地球防衛軍4.1については、予想以上に快適に動作しました。
また、お姉チャンバラZ2やORIGINも問題なくプレイでき、特にORIGINでは敵を最大数配置した状態でも60FPSを超えていました。
ただし、比較的新しいゲームになると厳しさが見えてきます。
DQM4体験版では設定によって動作状況が変わるものの、約32FPS前後で推移し、場合によっては20FPS前後まで低下しました。
さらにSILENT HILL fについては、今回の環境ではゲームを起動すること自体ができませんでした。
このように、Steam Frame単体で動作するゲームの範囲には限界があります。
Ryzen Z1 Extreme搭載PCとの単純比較はできない
Steam Frameの性能を考えるとき、個人的に気になるのがROG Ally Xなどに搭載されているRyzen Z1 Extremeとの違いです。
スペックを見比べるとSteam Frameの性能は見劣りする印象がありますが、両者はCPUのアーキテクチャやOSが異なります。
Steam FrameはARM系のSoCとLinuxベースの環境を採用しているのに対し、ROG Ally Xはx86系CPUを搭載したWindows PCです。
そのため、両者の性能を完全に同じ条件で比較することはできません。
特にWindows向けゲームの互換動作には、ゲーム自体の負荷だけでなく、実行環境との相性も関係してきます。
スペックだけで判断するのではなく、実際にゲームを動かして確認することが重要だと感じました。
Half-Life: Alyxが単体で動くのはやはり凄い
VRゲームでは、Half-Life: AlyxがSteam Frame本体だけで動くことに改めて驚かされました。
AlyxといえばPCVRを代表するタイトルです。
これがPCなしで動いているというだけでも、十分にインパクトがあります。
ただし、画質には明確な特徴がありました。
動かずに周囲を眺めている状態では、それなりに綺麗に見えます。
一方、移動しているときには映像の粗さが目立ちます。
高性能なPCで動作させる場合と同じ映像品質を期待すると、少し厳しいかもしれません。
それでも、Steam Frame単体でAlyxを動かせるという点は大きな魅力です。
古いVRゲームではコントローラーの互換性も問題に
Borderlands 2 VRについても動作を確認しました。
しかし、こちらはコントローラーがVIVE用として認識されてしまい、正常に操作することが難しい状態でした。
ゲームが起動できても、コントローラーの互換性によって快適にプレイできないケースがあるわけです。
Steam FrameはSteamのゲームを幅広く扱える端末ですが、Steamライブラリに存在するゲームが、すべて問題なく動作するわけではありません。
この点は購入前に理解しておく必要があると思います。
Steam Frame最大の魅力は圧倒的な自由度
ここまで不満点も多く挙げましたが、それでもSteam Frameを面白い端末だと感じる理由があります。
それは自由度の高さです。
通常のSteamゲームを本体単体で動かせるだけでなく、ゲームファイルを直接扱ったり、MODを導入したりできる点は、PCに近いSteam Frameならではの魅力です。
非公式ながらQuest向けゲームも動かせる
個人的に特に面白いと感じたのが、非公式ツールを利用してQuest向けゲームの動作を試せることです。
今回、FramePortなどを使用し、自分が所有しているQuest向けタイトルをSteam Frameへ移行する検証も行いました。
実際に「Deadpool」や「Resident Evil 4」については起動を確認できています。
ただし、非公式な方法であり、ゲームごとに対応状況が異なります。すべてのQuest向けタイトルが動作するわけではありませんし、セーブデータなどの取り扱いにも注意が必要です。
それでも、こうした使い方を試せるところはSteam Frameの大きな魅力です。
本体単独でMODを扱えるのもメリット
Steam FrameはLinuxベースの環境を利用しているため、ゲームファイルへのアクセスやMODの導入など、一般的なVRゲーム機よりPCに近い操作ができます。
もちろん、Windows向けMODがそのまま動作するとは限りません。
対応状況を調べたり、ファイルを配置したり、場合によっては追加の設定を行ったりする必要があります。
しかし、そうしたカスタマイズができる余地があること自体は魅力です。
個人的にはVRゲームを遊ぶことだけでなく、MODの動作検証などにも興味があるため、Steam Frameの自由度には大きな価値を感じています。
ハードウェアの完成度ではQuest 3に劣ると感じる部分があっても、それを補えるほど自由度が高い。
これが1か月使ってみて最も強く感じたSteam Frameの長所です。
ただしファイル管理は非常に面倒
自由度の高さを評価する一方で、その自由度を使いこなすための操作が非常に面倒なのもSteam Frameです。
例えば、Steamライブラリからゲームをインストールした場合、その保存先フォルダを探すだけでも苦労しました。
Windowsとはディレクトリ構造が異なるため、Linuxについてある程度の知識が必要になります。
さらに困ったのが録画データの取り出しです。
ゲーム録画はできても、動画の取り出しが面倒すぎる
Steam Frame本体にはゲームを録画する機能があります。
ところが、録画した動画をPCへ取り出そうとすると、これが非常に面倒でした。
録画データの保存場所が分かりづらく、メディア画面の操作も直感的とは言えません。
実際に確認した録画データはgamerecordings配下に保存されており、そのまま一般的なMP4ファイルとして取り出せるわけではありませんでした。
最終的には録画データを取り出し、ffmpegなどを利用してMP4形式にまとめることができましたが、正直かなり手間がかかりました。
Quest 3の場合、私が普段使用している方法では、開発者モードを有効にしてPCへUSB接続すれば、ある程度簡単にファイルを移動できます。
それに比べると、Steam Frameのファイル管理はまだまだ不親切だと思います。
WinSCPで無線転送できるのはメリット
もっとも、Steam Frameにも良いところはあります。
ネットワーク接続と必要な設定を整えれば、WinSCPなどを利用してPCとSteam Frameの間で無線ファイル転送ができます。
これは意外と便利です。
一度環境を構築してしまえば、毎回USBケーブルを接続せずにファイルのやり取りが可能になります。
ただし、そのためにはSSH/SFTPなどの接続設定や、Linuxのファイル構造に関する知識が必要です。
結局のところ、**「設定さえできれば非常に便利だが、そこまでたどり着くのが面倒」**というSteam Frameらしい特徴がここにも表れています。
Quest 3とSteam Frame、どちらがおすすめ?
1か月使用した時点での個人的な比較をまとめると、以下のようになります。
| 比較項目 | Quest 3 | Steam Frame |
|---|---|---|
| VR初心者へのおすすめ | 非常におすすめ | おすすめしにくい |
| UI・操作の分かりやすさ | 比較的分かりやすい | Steam経験者向け |
| VRゲームの手軽さ | 優れている | 互換性や設定に注意 |
| 通常PCゲームの本体単体利用 | 用途が限定的 | 大きな魅力 |
| MOD・カスタマイズ | 制限や手間がある | 自由度が高い |
| ファイル管理 | 比較的簡単 | Linuxの知識が必要 |
| バッテリー | 使用条件による | 本体の短さが不満 |
| 総合的な印象 | VRゲーム機 | VRもできるPC |
※比較は私自身の使用経験に基づく主観的な評価です。
Quest 3は決して不満のない製品ではありません。
しかし、VRゲームを楽しむための端末として考えると、やはり完成度が高いと感じます。
対するSteam Frameは、ゲームを遊ぶこと以外にも、PCのようにさまざまな操作やカスタマイズを行いたい人向けの端末です。
そのため、VR初心者や、VRゲームを手軽に楽しみたいだけの人にSteam Frameをおすすめする気にはなれません。
そうした人には、Quest 3や、価格を抑えたQuest 3Sの方をおすすめします。
一方で、Steamライブラリを活用したい人、LinuxやMODに興味がある人、多少の問題が発生しても自分で解決していくことを楽しめる人には、Steam Frameは非常に面白い選択肢だと思います。
1か月使用した総評:万人向けではないが、非常に面白い端末
Steam Frameを1か月使ってみて感じたのは、想像していた以上に人を選ぶ製品だということです。
Quest 3と比較すると、設定の分かりやすさや基本的な操作性など、まだまだ改善してほしい部分が多くあります。
特にSteamVRやSteam Linkの設定が分散している問題、録画データの取り出しにくさ、Linuxの知識を要求されるファイル管理などは、一般ユーザーにとって大きなハードルだと思います。
本体バッテリーの持続時間が短いことも、1か月使ってなお気になる部分です。
一方で、Steamライブラリの通常ゲームが本体だけで遊べたり、MODを導入できたり、非公式ながらQuest向けタイトルの動作まで試せたりする自由度の高さは、非常に魅力的です。
この自由度は、私にとって多少の不便さを補って余りあるものです。
ただし、それはあくまで自分で設定を調べたり、環境を構築したりすることを楽しめるからこその評価です。
誰にでも同じようにおすすめできる製品ではありません。
Steam Frameは「Quest 3の代わりになるVRゲーム機」というより、「VRゲームもできる、頭に被るSteam PC」。
1か月使ってみて、この考え方がますます強くなりました。
VRゲームを純粋に楽しみたいのであれば、今でもQuest 3やQuest 3Sをおすすめします。
しかし、VRだけでは物足りず、Steamライブラリの活用やMOD導入、Linux環境でのカスタマイズまで楽しみたいのであれば、Steam Frameには他のVR機器にはない魅力があります。
完成度についてはまだ不満が残りますが、自由度と可能性という意味では、非常に面白い端末だと思います。
今後のアップデートによって使い勝手がどこまで改善されるのかにも期待したいところです。